前回、ストレスがたまったかなと思ったら、辛い物、例えばカレーなどを食べて発散すると良いと述べました。
現代はストレス社会ですから、辛いラーメンなどが人気なのはそのためでしょうか。
ところが、それ位では抜けないストレスも多々あります。
辛い物、カレーやキムチなどを食べると、カーッとして汗をかき発散します。
体の中の陽気(熱)は「蒸気の形」をしていて、どこかで滞るとすごく熱化してしまいます。
漢方ではこれを気滞(きたい)と言います。
体の中を流れる物質である血や水(リンパ液)は、この蒸気(陽気)の推進力で巡っているのです。
そのため、ストレスや過労で蒸気(陽気)が滞れば、血も水(リンパ液)も滞ります。血が滞れば、瘀血(おけつ)と言い、水(リンパ液)が滞ればベタベタしてきて、水毒を作ります。
それらは病気(症状)を出してきます。
血の滞りの脳卒中などはその典型でしょう。
そこまで行かなくても血圧が上がったり、ほてったり、湿疹を出したり、はたまた統失調症のような心の病いも出てきます。
素問に「辛を食して散す」とあり、辛い物を食べて、滞った陽気の巡りを良くするように書いてあります。それでもダメな時は同じく、
素問に「苦を食して泄す」とあり、苦い物を食べて、便より出していこうと書いてあります。
特に春はいろいろストレスが多くなる季節です。
その春の食材には苦味の食べ物がいっぱいあります。
ふきのとう、菜の花、つくし、たけのこ、ふき、ほうれん草…
苦味の強いこれらを食べ過ぎると下すと、昔からよく親に言われたものです。
春こそ辛みの食べ物、そして苦味の食べ物を摂って、ストレスを抜くようにしましょう。
ちなみに漢方の生薬では、枳実(きじつ)とか芍薬(しゃくやく)などが苦味になります。
これらは肝経へ働き、ストレスでたまった気滞を除き、症状を取り去っていきます。
50代 女性
メインはお腹のはりと便秘、下痢を繰り返す事。
下痢してもお腹の張りはあまり変わらない。体が疲れやすい。
背中のこり、肩こりがよくあり、ひどい時は家族に背中に乗ってふんでもらうと楽になる。
主な症状はこれ位です。
食欲はふつうにあり、食べられる。
逆に食欲旺盛の時の方が多い。
たまにくさいガスが出る。
若い時と違って、気力が落ちた気がする。
疲れやすいのもそのためかと本人は思っている。
舌診すると、気滞とともに舌苔に痰飲あり。
表面はスウェードのように平らだが、所々に裂あり。
気滞と痰に働く「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を3日分試してもらった。
本人が言うには、「少しいいよう…」位。
そこで次に水の動きを良くするように「茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)」を3日分お渡しした。
やはり「少しいいような…」位。
ストレスは強いか本人に確かめるが、本人は至って明るい。
が、いろいろ聞いていると、仕事の責任者としてのストレスは思いのほか強い様子。
そこで「大柴胡湯(だいさいことう)」を3日分お渡しした。
大黄(だいおう)という生薬が入っているので下すかもしれない、下してしんどければ中止するように、しんどくなければ、続けて飲むように指導。
5日後、お腹の張りがすごく楽になったと報告あり。
同時にこり取れた様子。
そこで症状が出た時、頓服的に飲むようにお渡した。
この大柴胡湯(だいさいことう)には、苦味の生薬が多い、枳実(きじつ)、芍薬(しゃくやく)、柴胡(さいこ)、黄苓(おうごん)といくつも入っている。
これらが、気滞を除いて気の巡りをよくし、症状が改善したと考える。
まずは旬の食事。それでもダメな時はアオキ薬局までご相談下さい。
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