血液検査の「フェリチン」で分かる病態とは?・№1



まず「フェリチン」とは、内部に鉄分を貯蔵できる蛋白で、肝臓・脾臓・心臓など各臓器に存在しており、微量ながら血液中にも存在しています。

働きは、鉄分を細胞内に貯蔵して、トランスフェリンとの間で鉄の交換を行なって血液中の鉄分(血清鉄)の量を維持することです。

そのため、フェリチンを検査することにより、貯蔵鉄の量を調べることができます。

また、フェリチンは悪性腫瘍において非特異的に上昇するため、腫瘍マーカーと組み合わせて悪性腫瘍の診断の補助検査として用いられることがあります。


●各病態とフェリチン

・鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、その名のとおり体内の鉄が不足することにより起こる貧血です。
体内での鉄の減少はまず、貯蔵鉄であるフェリチンから減っていきます。
食物からの摂取不足や慢性的な出血などにより、鉄の供給よりも需要が増加すると、不足分を補うためにまず貯蔵鉄(フェリチン)が使われます。
その貯蔵鉄が不足すると、血液中の鉄分(血清鉄)も徐々に各組織で使われて不足していき、最後に鉄を材料にして作られているヘモグロビンが作れなくなるために貧血がおこります。

そのため、鉄欠乏性貧血では低値を示しますが、フェリチンを検査することにより、表向きはヘモグロビンが正常で貧血がなくても、貯蔵鉄が枯渇して徐々に貧血へと進行している隠れた鉄欠乏状態(潜在性鉄欠乏)を知ることができます。

ちなみに、鉄欠乏性貧血の治療では、鉄剤を用いられることがよくありますが、この場合、まず血清鉄が最初に増えていきます。
それから、ヘモグロビンが上昇しはじめて、最後に貯蔵鉄であるフェリチンが上昇していきます。
そのため、ヘモグロビンが上昇したからといって鉄剤を自己判断でやめずに担当医の指示に従って、しっかりとフェリチンを正常な値に戻しておきましょう。


・肝炎、心筋梗塞

肝臓や心臓にはフェリチンが多く含まれています。
そのため、炎症などにより組織が破壊されると、組織中に含まれているフェリチンが血液中に放出されるために高値となります。

・再生不良性貧血

再生不良性貧血は、造血をしている骨髄機能が低下して起こる貧血です。
そのため、鉄の利用が減少することにより、体内の鉄が余ってしまう状態となるため、血清鉄やフェリチンが高値となります。

・生理的変動

女性は男性に比べて低値を示す傾向があります。
これは、月経により鉄分を失うためで、閉経後は男性の値に近づきます。

№2では、「検査の目的」「フェリチンが異常値を示す病態」についてお話しします。



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