春は『肝』が弱る!?・№4     2018年 3月26日



●本物の五月病

春は肝(かん)の気が乱れやすい季節です。
婦人に多いのですが、男性にも出てきます。
それがこうじると「五月病」となる訳です。
五月病のすべてがここから来ているわけではないでしょう。


小学校、中学校、高校、大学と長い方で16年以上学生をしてきて、社会に出ればまったく違う生活スタイルになる訳です。
先輩、後輩のいるクラブ活動などでバリバリやってきていない人にとっては、それはそれはキツイ事と思います。
社会人になるという事は、年齢差のある、まったく性格も合わない人達と仲良くやっていかなければいけない事ですから、今まで同年齢の人達とばかり接してきた学生さんにとっては、接し方において大きなストレスを生むのでしょう。
まあ簡単に言えば人間関係です。



逆を言えば人間関係はいいのに、体の不調が続くのが「本物の五月病」なのです。


素問に「男は腎を根とし、女は肝を根とする」とあり、肝(かん)は女性と深に関係があります。
それは女性には月経があり、血の病にかかりやすい事とも撃っています。
漢方用語で「血の道症」と言われるものです。


では、どうして春に乱れやすく、体に不調がでてくるのでしょうか?
春になると暖かくなります。
ポカポカとした陽気に誘われて出かけたくなります。
キャンディーズの歌「春一番」にもありますが、浮かれて恋をしたくなるのが春なのです。(なんか猫みたいですみません)
でも本当です。外の陽気と体の中の肝(かん)の陽気がひきあってー同類相求むー 
盛んになってきて、動きたくなるのです。
この陽気、イメージで言うと春のそよ風位がちょうどいいと思って下さい。


ところが人によってはそよ風がベストなのに、強風になったり、あまりに弱かったりします。
ちょうどいい位だと体は変調をきたしません。
強すぎたり弱すぎると体は変調をきたし。それが症状となって出ているのです。

漢方では、この肝(かん)の陽気の風が

外へ向かうのが強すぎることを「大過(たいか)」と言い、
弱すぎる事を「不及(ふきゅう)」と言います。

強すぎる「大過(たいか)」では、のぼせたり、頭痛がしたり、血圧が上がったり、汗かきだったり、にきびや湿疹が増えたりします
もともと持病のある方の腰痛やひざ痛、肩関節炎などは、ひどくなります。

反対に弱すぎる風の「不及(ふきゅう)」では、気分が落ち込んだり、やる気が出なかったり、何となくだるかったり、頭が重かったり、ムカムカしたり、めまいがしたりします
素問には「その気くること実にならずして微なる」とあり、気の巡りが分かりにくいと言っています。
脈で言えば「大過(たいか)」は浮弦、「不及(ふきゅう)」は沈弦という事になります。
「弦脈(げんみゃく)」が出ているという事は、春なので肝の陽気は上がってきているけど、外へ向かうのが強すぎる(大過)ため、中で渋滞していて、弱くなっている(不及)という意味です。



初めに戻りますが、春に女性が体調を崩しやすいと言いましたが、ほとんどは「不及(ふきゅう)」の場合が多いです(アオキ薬局の症例では)。
漢方の治方は「疏肝(そかん)」と言う、陽気の巡りを良い状態に持っていく事になります。
この時、食欲の状態も併せて処方を考えていきます。
肝の陽気がつまりすぎると胃腸にも波及して、食欲旺盛になる人もいれば、逆に食欲減退する方もいます。
当然、治しやすいのは食欲のある方です。
食欲のある方は前回述べたような辛味や苦味の食養生でもって、やってみましょう。



70代 男性

前々から肩が痛いと相談に来店。
かれこれ何年も病院よりセレコックス錠をもらって服用している。これは変形性関節炎などに使う、消炎鎮痛剤。
前はこれで十分痛みもなく過ごせたが、最近はのんでも以前の半分位しか効き目が出ないと本人曰く。
若い頃より仕事の付き合いでよくゴルフに行っていた(バブルの頃はほぼ毎日行っていたとも)
でもここ何年かは肩の痛みで出来なくなった。
そのため友人も疎遠になり、さびしそう。

症状を聞くと、腕は上がる(五十肩では上がらない)。が、後ろへ回せない。
そのため、ゴルフも難しいらしい(私はほとんどやらないのでよくわからないが)。
それがここに来て(春になり暖かくなって)、ちょっとひねるとすごく痛いと曰く。
セレコックスの効き目もさらに落ちたらしい。
血圧も高めで病院より降圧剤も服用中。
これこそ春の「大過(たいか)」による悪化と考え、関節炎の漢方と肝の陽気の暴発(肝火上炎)を抑えるものを合方した。
お店で1回分をお茶にして飲んでもらい、待つ事15分。
腕が少しうしろに回るようになった。
本人が言うには「ここまでひねれたのは久し振り」と。
とりあえず1日1回の服用で10日続けて様子を見る事に。
「ゴルフ出来るようになるかなー」と喜んで帰られた。



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